【筋肉の記憶力】筋肉が「覚えられること」と「覚えられないこと」の違いとは!?

ハテナちゃん
筋肉って”記憶力”をもっているんですか…?

筋肉は一定期間トレーニングやストレッチをしなくても、筋力や柔軟性をキープできるものなのでしょうか?

今日はこの「筋肉の記憶力」について考えてみたいと思います。



筋肉の記憶力とは!?

筋肉に記憶力があるかないかと聞かれたら、大枠では「ある」と言えます。

Tomy
大きな括りでは「ある」なんですね。

長期間、運動や筋トレをしっかりと行っていた人が何らかの理由でトレーニングを中断しても、筋肉(筋力)は比較的すぐに取り戻すことができます

(*ここでのターゲットはあくまで「筋肉単体」です。”動作”を含んでしまうと「小脳」や「神経回路」も入ってくるので今回は除きます。)

ではどんなメカニズムになっているか、深掘りして見ていきたいと思います。

 

【記憶力の仕組み】

そもそも、筋肉というのは「筋細胞」によって構成されています。

「筋細胞」というのは、言葉を変えると「筋線維」です。

この1つ1つの筋線維の中には、ぎっしりと「筋原線維(アクチン・ミオシン)」が詰まっています。

kinsaibou(引用:パーソナルトレーニングスタジオ レプレより)

Tomy
大きさの目安は

  • 筋線維(筋細胞)=髪の毛1本分
  • 筋原線維=髪の毛1本分の1/100
  • アクチン・ミオシン=髪の毛1本分の1/10000

とされています。

細胞の中には「核」と呼ばれるプログラミング装置があります。

基本的には「1細胞=1核」で構成されていますが、筋細胞は長さ数センチにも及ぶ巨大な細胞のため、1つの筋細胞にたくさんの核が含まれています。

これにより、筋細胞は「多核体」の細胞である、とも言われています。

ハテナちゃん
へぇ〜、筋細胞1つにはたくさんの「核」が入っているんですね!

<核の役割>

この「核」は、筋細胞内の”筋原線維(アクチンとミオシン)の増減をコントロール”している非常に重要な存在です。

核が「アクチン増えろー、ミオシン増えろー」と指示を出すことによって、”筋原線維の量”が変化していくといわれています。

しかしながら、1つの核が指示できる”領域”には限界があります。

それによって筋細胞の大きさにも限界が設定されています。

ハテナちゃん
この上限を超えてさらに筋肉を大きくするためにはどうすれば…?

ポイントになるのは、筋細胞内の「核数の増加」です。

 

<”核数が増える”ってどういうこと!?>

Tomy
カギを握るのは、1つの筋細胞の周りに8〜10個ほど存在する「サテライト細胞」です。

これは発生の過程で筋線維にならなかった「筋”芽”細胞」です。

筋細胞は必要に応じて、周囲のサテライト細胞を取り込み、1細胞内の「核数」を増加させます。

Tomy
「核数」が増えれば、それだけ広い領域細かく指示を出すことができるようになるので、筋原線維の量をコントロールしやすくなるわけですね。

(引用:日経トレンディネットより)

つまり、わかりやすくまとめてみると

「細胞内の核数の多さ」=「筋原線維の量」=「筋肉のボリューム」

なわけです。

ハテナちゃん
なるほど!核数の多さが、筋肉のボリュームを決めているわけですね!

一度増加した核数は、なかなか”減少しない”と考えられています。

1細胞内の核数が多い人ほど、”素早く”筋原線維の量をコントロールできるので、筋肉が大きくなりやすい(元の筋量に戻りやすい)という特徴があります。

これが前述した「トレーニング中断後の筋力回復」の原理となっています。

Tomy
これは「マッスルメモリー」とも呼ばれています。

鍵を握っているのが「核の”数”」であることをぜひ覚えておいてください。

 

記憶できることとできないこと

記憶力の原理は「核の数」にありますから、”記憶できること”と”記憶できないこと”が存在しています。

  • 記憶”できる”こと=「筋原線維の量」であり「筋力」
  • ”記憶”できない”こと=「筋肉自体の柔らかさ」であり「柔軟性」

「筋肉の柔らかさ」は、素材そのものの弾力性である場合が多いです。

核の力でコントロールできるものでもなければ、筋肉そのものが記憶できるものでもありません。

柔軟性は

  • 「運動習慣」
  • 「姿勢」
  • 「ストレッチ習慣の有無」

もっと細かく言えば

  • 「血液の流れ」
  • 「コラーゲン線維の癒着度合い」

などによって決定されるので、その時その時で変化していきます。

ハテナちゃん
なるほど。筋細胞が”覚えている”わけではない、ということですね。

つまり「若い時に筋トレをしていた」人が再度トレーニングを始めれば、周りの人より早く筋力をつけることはできますが…

「若い時にストレッチをしていた」人が再度ストレッチを始めても、柔軟性を高めるためにはかなりの時間を要してしまうわけです。

だからこそ!

Tomy
ストレッチは”継続”が大事』なんですね。

 

まずは筋トレよりもストレッチ

ハテナちゃん
運動不足の人には「筋トレ」と「ストレッチ」、どちらを優先してもらえばいいんですか?

「いま、運動をしていない人」にまずオススメすべきなのは、筋トレよりも”ストレッチ”です。

柔軟性を上げる・もしくは保つ、というのは、筋力を向上させるよりも難しい場合があります。

おもしろいことに継続的なストレッチは、微力ながら筋力を向上させるという報告も挙がっています。

(*詳しくはこちら:【筋力向上】スタティックストレッチを”継続”すると、筋力が上がる!?)。

また柔軟性が上がってくると、関節可動域が広がることによって使われる筋肉量が増え、結果的に筋力も上がってくることが予想されます。

すなわち「柔軟性の向上→筋力の向上」は十分可能なわけです。

しかし、その逆はなかなか難しいのが現実です。

いま現在、体が柔らかい方は、ぜひ継続的にトレッチをしてその柔らかさをキープしてください。

Tomy
一度硬くなってしまった筋肉を柔らかくするのは本当に大変です。

年を重ねた時に後悔しないよう、ぜひ今日からストレッチを始めていきましょう。

 

まとめ

筋肉の記憶力とストレッチの大切さ、ご理解いただけましたか?

筋肉の柔軟性”記憶力には直結していないこと”を理解して、ぜひコツコツとストレッチを続けていただければと思います。

ではでは今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

うぱ
今日もありがとうぱ!

 

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ABOUT US
Tomy先生
千葉県出身。 現在は「健康」×「教育」の仕事に従事。 将来の夢は「全ての人が毎日身体のケアをする文化を創ること」。 ”歯磨きすること”と同じくらいの感覚で、体のケアをする文化が広まれば、きっと世界を変えていける!と信じている。 マイペースで群れることが嫌いな典型的なB型気質。西新宿にて週末個人サロン「Tomy's room(トミーズルーム)」を運営中。 ◯順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツ科学科(スポーツ医科学専攻) ◯日本ストレッチング協会:認定ストレッチインストラクター<JSA-CSI> ◯全米ストレングス&コンディショニング協会<認定パーソナルトレーナー(CPT)&認定SCスペシャリスト(CSCS)>