【ページコンテンツ:気になる箇所へのジャンプも可】
人間の体には、大小およそ”400個以上”の筋肉が存在しています。
筋肉が果たす役割は大きく、筋肉が無かったら私たちは生活していくことができません。
今日はそんな筋肉の動きの大原則である”2つの法則”(「全か無かの法則」「サイズの原理」)についてまとめてみようと思います。
筋肉が動く仕組み
まずは筋肉が動く仕組みから見ていきましょう。
筋肉というのは「伸び・縮み」をする機能があるように思われている一面がありますが、筋肉の基本機能は「縮む動作のみ」です。
筋肉を細かく見ていくと、”マトリョーシカ”のようにどんどん細い線維が現れてきます。
(引用:muscle-guide.infoより)
この線維の最小単位を「筋原線維(きんげんせんい)」といいます。
これは「ミオシン線維(太い線維)」と「アクチン線維(細い線維)」から成り立っています。
筋肉が縮む動作の際は、
- 離れている2つの線維が”連結”する。
- ミオシン線維がアクチン線維を”たぐり寄せる”。
という動きが行われます。
したがって、構造上筋肉が単独で伸びることはあり得ません。
1つの筋肉が「伸びている」ときは、反対側の筋肉が「縮んでいる」ことを覚えておきましょう。
<運動単位とは?>
筋肉の話をする上では「運動単位」という言葉も知っておく必要があります。
筋線維というのは、1本ごとに独立して動くのではなく、”いくつかの集団ごと”に神経の支配を受けています。
この1つの神経支配から成り立っている筋線維の集団を「運動単位」といいます。
運動単位を構成する筋線維の”数”は、その筋肉の機能によって様々です。
例えば、”眼球を動かす筋肉”は細かい動きに対応する必要があるため、1本の神経に対して「10本程度」で構成されています。
その一方で、”ふくらはぎの筋肉”は一度の収縮で大きなパワーを発揮をする必要があるため、1本の神経に対し「1000本以上」が集まって構成されています。
筋肉の仕組みというのは、とてもよくできているんですね。
全か無かの法則
ではここから本題に入っていきましょう。
「全か無かの法則」とは、運動単位ごとに収縮するか収縮しないかを決めるという法則です。
例えば、1つの筋肉内に
- A(筋線維10本)
- B(筋線維50本)
- C(筋線維100本)
という3つの運動単位があるとします。
とても”軽い”負荷(ペットボトルのフタを持ち上げる)の際には「Aの運動単位のみ(10本)」が働き、BとCは全く関与しません。
しかし、とても”重い”負荷(2Lのペットボトルを3本同時に持ち上げる)の際には、AもBもCも全ての運動単位が動員され「合計160本」もの筋線維が一斉に働きます。
この自動調節機能は「完全に働く筋線維」と「全く関与しない筋線維」を生み出します。
この現象を「全か無かの法則」と呼んでいます。
サイズの原理
「サイズの原理」という言葉も、筋肉を理解する上ではキーワードになります。
これは筋肉が力を発揮する際に「”なるべく小さな運動単位から”順番に使われていく」という原理です。
先ほどのABCの運動単位で考えてみると、どんな負荷の重さであっても、まず動員されるのは「Aの運動単位」です。
いきなりCの運動単位だけが使われるということはありません。
人間は視覚によって持ち上げるモノの重さを推定し、それに見合った運動単位をなるべく小さい順に動員していることをぜひ覚えておきましょう。
原理原則の応用
トレーニングをする際にも、これらの原理を知っていると非常に役立ちます。
例えば「持ち上げる」動作をする際には、その重さに見合った筋線維が”小さい順”に動員されていきます。
しかし「下ろす」動作では、万が一のリスク(落としてしまう、バランスを崩してしまう)に備えて”より大きな運動単位から”優先的に使われるという特徴があります。
したがって、筋肉をつけたい場合には
- 「下ろす」動作
- 「伸ばされる」動作
を強調してトレーニングすることが大切です。
この辺りのより詳しい情報は「石井直方の筋肉まるわかり大事典」もぜひご参照ください。
まとめ
筋肉の原理原則をまとめてみると、
- 筋肉は「縮む」だけ。
- 1本の神経に支配される筋線維の集団を「運動単位」という。
- 運動単位は完全に働くか、全く働かないかのどちらかであり、これを「全か無かの法則」という。
- 小さな運動単位から順番に使われていくことを「サイズの原理」という。
この4点は覚えておいて損はないと思います。
では今日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
<セラピストの皆さんへ>
トップセラピストに必要な“実践的ノウハウ”をまとめています。
==
また現場で活躍するセラピストに向けた“人気コラム”も書いています。
→【セラピストサロン】
体の知識を体系的に学びたい方はこちらもどうぞ。
→【NSCA-CPT要点まとめ講座】【NSCA-CSCS要点まとめ講座】
ぜひ覗いてみてください。
シェア・ブックマークも忘れずに
「また後で見に来よう!」で見失わないように、シェア・ブックマークボタンをぜひご活用ください。
コメントを残す