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先日のブログでは”筋肉”が硬くなる仕組みを紹介しました(詳細はこちら→【筋肉が硬くなる仕組み】)。
今日は「筋膜が硬くなる仕組み」について考えていこうと思います。
筋膜とは?
「筋膜」というのは、筋肉を包んでいる薄い膜のことです。
(引用:ヨミドクター – 読売新聞より)
主な成分は、
- 構造を作る硬い線維=”コラーゲン線維”
- コラーゲン線維をつなぐ弾力性のある線維=”エラスチン線維”
の2種類であり、どちらも共にタンパク質でできています。
筋膜は体の中に数種類あり、
- 筋線維を束ねる=「筋内膜:きんないまく」
- 筋束を束ねる=「筋周膜:きんしゅうまく」
- 骨格筋全体を束ねる=「筋外(上)膜:きんがいまく」
- 筋肉と皮下脂肪の間=「深筋膜:しんきんまく」
- 皮下脂肪と皮膚の間=「浅筋膜:せんきんまく」
が代表例です。
(引用:ナースが教える仕事術より)
基本的にストレッチをすると、筋肉よりも”先”に筋膜が伸ばされていきます。
筋膜が硬い状態だと内部の筋肉も伸ばしにくくなるので、ストレッチ効果も半減しがちです。
柔らかい状態を保てるようにケアをしていきましょう。
筋膜が硬くなるメカニズムとは?
では続いて、なぜ筋膜が硬くなってしまうのかを見ていきましょう。
筋膜が硬くなってしまう最大の要因は”不活動”、すなわち”動かさないこと”にあります。
そもそも筋膜には「可塑性:かそせい」があるので、姿勢による影響を大きく受けています。
(引用:アマゾンより)
伸ばされた状態をキープし続ければ伸びたまま固まり、縮ませた状態をキープし続ければ縮んだまま固まります。
つまり”伸ばしっぱなし”にせよ、”縮みっぱなし”にせよ、不活動状態が続くことで筋膜は固まってしまうわけです。
この時、ポイントとなっている変化は以下の3点です。
- コラーゲン線維の”量”が増える。
- 動かさないことで”線維の配列”が乱れたままになる。
- 線維同士が”癒着”する。
では、そのメカニズムをさらに詳しく見ていきましょう。
<①線維の量が増える>
筋膜内には”毛細血管”があり、非常に高密度で張り巡らされています。
不活動状態が長引くと、毛細血管の血流が悪くなり、筋膜内が”低酸素状態”に陥ります。
この状態が長引くと「TGF−β(形質転換成長因子)」という物質が発現されて「線維芽(せんいが)細胞」いう細胞が活性化されていきます。
線維芽細胞が活性化されると、筋膜内のコラーゲン線維の”量”が増えてきます。
それにより、筋膜が分厚く密な状態(肥厚化)に変化していきます。
これが①段階です。
<②線維配列が乱れたままになる>
①により筋膜内が分厚くなったとしても、ストレッチ等で動かしていれば大きな問題にはなりません。
しかし、不活動状態がさらに続いてしまうと、新しく生まれてきたコラーゲン線維が”乱雑に乱れて配列”されてしまいます。
本来コラーゲン線維というのは、伸ばされた方向に対して”平行”に繊維配列が整うことで”伸び”が生まれています。
(引用:関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方より)
しかし、配列が乱れて肥厚化した状態では、伸ばされても伸ばされた方向に線維の移動が起こりません。
これが”筋膜の硬さ”につながってしまうわけです。
<③線維同士が”癒着”する>
ここからさらに不活動状態が続いていくと、この乱れたコラーゲン線維同士が”癒着”し始めます。
この癒着を”架橋(かきょう)”や”クロスリンク”とも呼んでいます。
この状態が増えれば増えるほど、線維間の連結は強くなり、伸びにくくなります。
この①→②→③が筋膜が硬くなる一連の流れだと考えられています。
筋膜を柔らかくするのは難しい
動かさないことによって分厚くなったコラーゲンが乱れた状態で固まり、癒着を強めてしまったら…
柔らかくするのは至難の技です。
そもそもラットの研究によれば、”筋タンパク質”の半減期(組織の半分が新しく生まれ変わる周期)が”10日程度”なのに対し、”コラーゲン”の半減期は”300日程度”と言われています。
だからこそ、筋膜は固まらないように”予防”をしていくことが非常に重要です。
予防方法はいたってシンプル、
- 体をよく”温める”こと
- 変性しないようによく”動かす(伸ばす)”こと
の2つです。
コラーゲン線維を含むタンパク質は”熱を加えると柔らかくなる性質”があるので、体をよく温めた状態で伸ばすとより効果が高まります。
まとめ
筋膜が硬くなる仕組みは、
- コラーゲン線維の”量”が増える。
- 動かさないことで”線維の配列”が乱れたままになる。
- 線維同士が”癒着”する。
です。
柔軟性を上げていくためには”筋膜ケア”が必要不可欠です。
その際には、
- 体をよく”温める”こと
- 変性しないように”動かす(伸ばす)”こと
が非常に重要になってきますので、ぜひ意識して取り組んでみてください。
では今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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