【伸ばし方の違い】ストレッチのやり方で柔軟性向上に変化は出るの?

ストレッチの一般的な認識は「ゆっくりじわ〜っと伸ばすこと」かと思います。

しかし、ストレッチにはいろいろなテクニックがあり、伸ばし方が少し異なるだけで柔軟性の変化にも違いが出ることがわかっています。

ハテナちゃん
ストレッチってただ伸ばすだけじゃないんですか?

今日は「伸ばし方の違いによる柔軟性の変化」について考えていきたいと思います。



ストレッチの種類

ハテナちゃん
ストレッチにはどんな種類があるんですか?

ストレッチには大きく分けて

  1. 「バリスティック」ストレッチ
  2. 「コントラクト」ストレッチ
  3. 「スタティック」ストレッチ

の3つが存在しています。

Tomy
要するに

  1. ”反動”をつけるもの
  2. 伸ばされた位置で”抵抗”をかけ、”筋収縮を起こす”もの
  3. ”脱力”して、ゆっくりじわ〜っと伸ばすもの

の3つです。

①の反動を使ったバリスティックストレッチは、筋肉を傷めてしまうリスクもあり、少し難しい手技になります。

今日は②と③を中心に見ていきたいと思います。

 

コントラクトとスタティック

ハテナちゃん
伸ばし方が違うだけで、柔軟性の変化に違いが生まれるんですか?
Tomy
伸ばし方による変化の違いは、たくさんの研究者が調査しています。少しだけ紹介していきましょう。

Prentice(1983)はハムストリングスに対して2種類のストレッチを行い、変化の違いを調べています。

  • グループA=(「脱力して10秒キープ」+10秒休憩)を3セット
  • グループB=(「抵抗に対する10秒間の筋収縮&ストレッチ」+10秒休憩)を3セット

《*グループA:スタティックストレッチ、グループB:コントラクトストレッチ》

伸ばしている総時間は同じですが、関節可動域には

  • グループA=「8度」向上
  • グループB=「12度」向上

という違いが見られました。

ハテナちゃん
ただ伸ばすだけより、筋収縮を活用した方が柔軟性UPにつながるんですね!

 

Hardy(1985)はさらにこのコントラクトストレッチの「筋収縮時間差による効果の違い」を調べています。

ストレッチポジションを取った後、

  • グループ①=「3秒間」
  • グループ②=「6秒間」

抵抗に対してそれぞれ筋収縮を行います。

どちらも筋収縮の終了直後に「それ以上動かせない位置」まで大きくストレッチされ、その状態を10秒間キープされています。

これを連続して3セット、6日間行った結果、

  • グループ①は「16度」
  • グループ②は「20度」

の可動域向上が見られました。

Tomy
筋収縮時間は、長い方が効果的だったわけですね!

 

ストレッチの際には「ただ伸ばすだけ」より

「伸ばしながら筋収縮を起こす→可動域いっぱいまで伸ばしきる」

というテクニックを活用した方が効果的であることがわかっています。

セルフストレッチの際も”伸び感”が得られるストレッチポジションを取ったら、意識的に伸ばされている筋肉に力を込めてみましょう。

きっといつもとは違う反応が得られるかと思います。

 

長所と短所

ハテナちゃん
…ということは「ゆっくりじわ〜」のスタティックストレッチは不要なんですか?
Tomy
不要ではありません^^

それぞれの伸ばし方に長所と短所がありますから、目的に応じた選択が大切です。

Osteringら(1987)は「スタティックストレッチとコントラクトストレッチ時の筋肉の状態」を筋電図を活用して調査しています。

ストレッチ後の可動域向上は「コントラクトストレッチの方が平均5%高い」という結果が得られたのに対し、

ストレッチによる筋肉の活動は

  • スタティックストレッチ=11%減少
  • コントラクトストレッチ=8〜43%増加

となりました。

ハテナちゃん
体は柔らかくなったのに、筋肉は力が入って硬くなったんですね!

 

コントラクトストレッチというのは、伸ばされながら筋肉を収縮させることで「筋紡錘」というセンサーに働きかけを行うストレッチです。

このセンサーによって可動域は増加してきますが、力を入れる以上、活動レベルの上昇は免れません。

したがって

  • 筋肉の疲労度が高いとき
  • 筋肉のこわばりが強いとき

には不適切なストレッチであり、強行して行うと攣ってしまったりする弊害が出る恐れもあります。

運動後のクールダウン時などで「リラクゼーション効果」を狙いたい場合は、スタティックストレッチのほうが良いわけです。

ハテナちゃん
お風呂上がりのストレッチには「ゆっくりじわ〜」のスタティックストレッチでいいんですね!
Tomy
その通り。使い分けが大事です。

 

まとめ

一言で「ストレッチ」と言っても、伸ばし方にはいろいろな種類があります。

柔軟性の向上に限っていえば、スタティックストレッチよりもコントラクトストレッチの方が効果的だと言われています。

Tomy
ただ今回紹介した文献は全て「ハムストリングス(太もも裏の筋肉)」に限定されています。

筋肉の位置やタイプによって構造・機能は異なり、ストレッチング効果も異なる可能性があることは忘れずに。

それぞれの伸ばし方の長所と短所を知り、目的に応じて使い分けていきましょう。

ではでは今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

うぱ
今日もありがとうぱ!

 

【シェア・ブックマークも忘れずに】

この記事の他にも「体のケア」に関するお役立ち情報を多数掲載しています。

更新情報等のお知らせはこちらから↓
友だち追加

「また後で見に来よう!」で見失わないように、シェア・ブックマークボタンをぜひご活用ください。

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加

では改めまして…いつもありがとうございます。



<オススメ本の紹介>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
Tomy先生
千葉県出身。 現在は「健康」×「教育」の仕事に従事。 将来の夢は「全ての人が毎日身体のケアをする文化を創ること」。 ”歯磨きすること”と同じくらいの感覚で、体のケアをする文化が広まれば、きっと世界を変えていける!と信じている。 マイペースで群れることが嫌いな典型的なB型気質。西新宿にて週末個人サロン「Tomy's room(トミーズルーム)」を運営中。 ◯順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツ科学科(スポーツ医科学専攻) ◯日本ストレッチング協会:認定ストレッチインストラクター<JSA-CSI> ◯全米ストレングス&コンディショニング協会<認定パーソナルトレーナー(CPT)&認定SCスペシャリスト(CSCS)>