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柔軟性の高さと運動スキルとの間の関係性は、いろいろなところで議論されています。
今日はこの問題をより大きい観点からまとめてみようと思います。
体が「柔らかい」方がいい理由
一般的に言われる「体の柔らかさ」とは「関節可動域の大きさ」です。
関節可動域とはその名の通り、関節がどれだけ大きく動くことができるかを示すものであり、体をより大きく、よりしなやかに使うためには必須のスキルです。
特に芸術的な得点項目がある
- バレエ
- ダンス
- スケート
- 飛び込み
- 体操
などにおいては関節可動域の大きさが「表現力」にも直結してくるため、欠かせない要素になっています。
一般的な運動においても、体の柔らかさは重要です。
体が柔らかいということは、それだけ筋肉を大きく伸ばすことができるということです。
大きく伸ばされた筋肉は「弾性エネルギー×収縮力」によって力を発揮するため、短い筋長の筋肉よりも大きな力を発揮することができると言われています(Asmussen and Bonde-Petersen,1974)。
1の長さの筋肉が「1」から力を発揮すると収縮力しか働きませんが、「1.5」から力を発揮すると0.5分の弾性エネルギーも含むことができます。
これによって、筋肉の収縮力を高めることができるとされています。
また「より長い時間」を使って「より広い範囲」で筋力を発揮することができるため、単位時間あたりの速度やエネルギーが大きくなることもわかっています(Ciullo and Zarins,1983)。
さらに関節や筋肉の柔らかさは、
- 血行が促進され、疲労の回復が早まる
- 動作における”抵抗”が減少して、エネルギー効率が向上する
- 体のバランスが整い、局所的な慢性疲労や怪我を予防できる
といったメリットもあります。
体が「硬い」方がいい理由
しかしながら「体は柔らかければ柔らかいほうがいいのか」と言われると、そういうわけでもないのが事実です。
ウィルソンらの研究によると「過度に筋腱組織に柔軟性があると、変化した筋長と収縮速度により、結果的に収縮力が低下する」とされています(Wilson et al.1994)。
これは筋肉や腱が柔らかすぎてしまうと、筋肉で発生したパワーが周囲の筋腱に吸収されてしまい、骨にまで伝わらないということです。
実際に「下肢と体幹部の柔軟性とランニング効率」を調査した実験では
「柔軟性の”ない”ランナーの方が弾性エネルギーによる跳ね返りが良くなり、エネルギー効率がよい」(Craib et al.1996)
という結論が導き出されています。
- 陸上競技(短距離、長距離含む)
- 競輪
- サッカー
などといった持続的に高い筋出力を要求され続ける運動においては、ある程度の体の硬さは重要だと考えられています。
柔らかい方がいい?硬い方がいい?
このように競技特性によって体の構造は変化してくるため、一概に「柔らかい方がいい!」「硬い方がいい!」と結論付けることはできません。
世の中に出回る情報の多くは、極論に走りたがる傾向があります。
バレエダンサーと競輪選手の体は根本的に異なるわけですから、一概に運動スキルと体の柔らかさを紐付けることはできません。
<弾性エネルギー活用の注意点>
「弾性エネルギー」の活用においては注意点もあります。
それは「体の硬さによる弾性エネルギーの活用」には、ある程度の「筋肉量」と「しなやかさ」が必要不可欠であるということです。
トレーニングによる筋腱の弾力性と、運動不足による筋腱の拘縮(こわばり)は全くもって別物です。
特にアスリートではない一般の人が弾性エネルギーを活用しようとすると、肉離れや腱断裂といった大きな怪我につながってしまうことがあります。
一般の方にとっては「硬いことのメリット」よりも「柔らかいことのメリット」の方が圧倒的に多くあります。
したがって、とにかく「体を柔らかくすること」に比重を置くべきだと思います。
まずは体を柔らかくして
- 怪我の予防
- 疲労の回復
- ストレスのない運動動作
を手に入れましょう。
ぜひ毎日のストレッチ習慣を始めていきましょう。
まとめ
体は柔らかすぎても硬すぎても好ましくありません。
また運動スキルと体の柔らかさは、その運動の競技特性にも大きな影響を受けるため、一概にはいえません。
しかし、一般の人においては「柔らかい」に越したことはありません。
ぜひ日々ストレッチを実践していきましょう。
では今日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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