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今回の内容は「【筋肉:テコの原理①】筋肉に存在する3つのテコとは?の続編」です。
テコの原理を扱う上で重要な「力学的有効性」と「トレーニングへの応用」について紹介していこうと思います。
「力学的有効性」について
前回の記事では3つのテコ構造について説明しました。
テコ構造には「トルク(回転力)」があり、これは「力×モーメントアーム」よって導き出されます。
改めて確認しておきましょう。
下イラストのテコは左右のトルクが同数値であるため、ピタッと釣り合います。
左側(青)=支点から5cmのところに10kgの重り(「10kg×5cm」)
右側(赤)=支点から50cmのところに1kgの重り(「1kg×50cm」)
この考え方を理解できた上で「第1のテコ」と「第3のテコ」を見てみましょう。
これらは支点〜筋力のモーメントアームが極端に短い傾向にあります。
筋力のモーメントアームが短く、抗力のモーメントアームが長いということは、筋力にとって非常に不利な構造です。
こういった構造のことを「力学的有効性が低い(1.0を下回る)」と表現します。
意外にも実際の人体にはこういった構造が多く存在しています。
しかしながら、この構造はデメリットだけではありません。
支点に近い位置に筋力が存在しているということは、”先端に速度をもたらすことができる”ことを意味しています。
つまり、中心に近い部位をぐっと引っ張れば、先端がピュッと走るというイメージです。
力の大きさは筋力を発達させること(筋肥大を起こすこと)で解決できますが、速度の問題は構造上で解決しておかなければ後天的には手に入れられません。
自然界にはおいては、自分の命を守るためにも「速度」は非常に重要です。
それゆえにこういった構造になっているわけですね。
トレーニングへの応用
このテコの原理は、トレーニングにも応用可能です。
(繰り返しとなりますが)筋肉のテコ構造において重要なのは、重くなるか・遠くなるかによってトルクの大きさが変化するということです。
つまりトレーニングでより効率的に負荷をかける際には、関節中心(支点)からなるべく遠くに重さをかけることが重要になります。
例えば「アームカール」と呼ばれる、上腕二頭筋のトレーニングを見てみましょう。
下のイラストをご覧ください。
肘を大きく曲げた状態が「上」、肘を伸ばした状態が「下」です。
ダンベルの重さ(抗力)が一定でも、上の方がモーメントアームが小さいため、筋力にかかる負担は小さくなります。
一方で肘を伸ばしながら前腕を水平にした位置は、支点〜ダンベル(抗力)までのモーメントアームが最も大きくなるため、負荷が大きくかかるようになります。
この考え方はスクワットやデッドリフトなどの基本的種目にすべて当てはまります。
トレーニング中はなるべく大きく可動域を使い、関節中心からの「距離」という考え方を意識していきましょう。
まとめ
今回は筋肉のテコ構造についてまとめてみました。
こういった動作分析は「バイオメカニクス」とも呼ばれ、運動効率を考える上では必須の考え方です。
興味のある方はぜひ学びを深めてみてください。
では今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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