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私たち人間の体は「張力」により、全身の筋骨格が”連動性”をもって動いています。
しかしながら、一般的な解剖学では筋肉を個別で学ぶ機会が多く、”連動性”や”つながり”をイメージしにくいのが現実です。
テンセグリティー構造
人間の体を構成している「張力関係」のことを「テンセグリティー構造」といいます。
”テンセグリティー”とは
- テンション(張力)
- インテグリティ(整合性)
から作られた造語であり、張力に基づいてキレイなバランスを保っている構造のことを指しています。
こちらの構造物は「テンセグリティタワー」と呼ばれるものです。
人間の体もこれと同様の原理に基づいています。
下の写真が人間の骨格を表したテンセグリティー構造です。
骨格だけでバランスを保ち続けることは非常に難しいです。
しかし、筋肉が張力を持って支えることで、効率良くバランスを保つことができるようになります。
『全身の筋肉はつながっている』
この土台は「テンセグリティー構造」にあると考えられています。
テンセグリティー構造の特徴
このテンセグリティー構造の特徴は『分散と協働』です。
先ほどのテンセグリティタワーを思い出してください。
このタワーを上から押した時、タワー全体が”たわむ”ことがイメージできるでしょうか?
押された部分の木”だけ”が折れることはありえません。
少し専門的な言葉を引用すると、
「テンセグリティ幾何学の考えでは、ある部位に緊張が加わると張力ラインに沿って構造全体に緊張を分散させ、緊張が加えられた部位から離れた脆弱な地点で「たわみ」が生じ、崩壊や倒壊が起こる可能性がある」
(引用:アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線(医学書院):p54)
これは体においても同様です。
ある部位の「痛み」というのは、全く別の箇所が長期間ストレスを受け続けた結果であるとも考えられます。
その張力ライン上で最も”脆弱な”部分だったことによる痛みだと仮定すれば、ケアすべき場所はその「痛み」の箇所ではないことが理解できると思います。
この張力ラインが「アナトミートレイン」という筋筋膜経線の考え方です。
アナトミートレインとは!?
アナトミートレインというのは、筋肉の張力ラインを示しています。
「テンセグリティタワー」でいうと以下の矢印がそれにあたります。
(Cuatro Gatos – FC2より一部改変)
私たちは解剖学を学ぶ際、便宜上1つ1つの筋肉を”ばらして”見ています。
「〇〇筋の起始は〜で、停止は〜で」というように、あたかも1つ1つの筋肉が独立して存在しているかのように扱います。
しかし、実際の筋肉はこのように↓
(引用:アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線(医学書院):P56より)
筋間中隔などを通じて”つながって”います。
ちなみに上の写真は「僧帽筋〜三角筋〜手根伸筋」になるので、首から肩、そして腕にかけてのラインになります。
前述した『分散と協働』の考えに基づくと、僧帽筋の「痛み」は腕からくることもあれば、その逆もまた然りになります。
大切なのは、この”ライン全体”をケアすることです。
このことを理解しておかないと、痛みの箇所だけに目を奪われがちになってしまいます。
「ちょっと待って、そこじゃない」
そう言えることが信頼されるセラピスト、トレーナーの第一歩です。
まとめ
人の体は見れば見るほど、とても繊細で巧妙な造りになっていることに気がつきます。
構造の原理を全て理解することは不可能ですが、少しでも理解しようとすることが大切です。
この本では、およそ”20ページ”にわたってテンセグリティーの原理が詳しく書かれています。
骨格的なテンセグリティだけでなく、細胞レベルのテンセグリティ(「ミクロテンセグリティ:細胞はどのように張力と圧縮のバランスを保つか」)もいい勉強になります。
難しそうな本に思われがちですが、意外とイラストも豊富で読みやすい1冊になっています。↓
後半は「アナトミートレイン」の情報が満載です(むしろこちらがメインです)。
全12ライン、全てが載っているのでこの1冊でしっかりと学べるかと思います。
興味のある方はぜひ覗いてみてください→【アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線】
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